STRATEGIST
日本発 2人の天才戦略家
石原莞爾/佐藤鐵太郎
ISHIWARA/SATO
石原莞爾/佐藤鐵太郎
石原莞爾 / Kanji Ishiwara (1889-1949)
日本の陸軍軍人、軍事思想家。
日本陸軍史上最高の頭脳、天才、怪物、などと呼ばれた男。米国との最終戦争を主張した『世界最終戦争論』を書いたことや、満州事変を画策推進した人物として知られる。陸軍の立場からユーラシア大陸への進出と米国との最終戦争を訴えた。
山形県で生まれ警察官の父を持ち、幼少期から乱暴であったが成績は常にトップ。満州事変を自ら画策推進し、張学良軍20万V.S.関東軍1万の20倍の戦力差に打ち勝ったことは世界中に石原の名を轟かせた。また、軍人の枠を超えた思想などを発表し、 昭和史に絶大な影響も与えた。
佐藤鐵太郎 / Tetsutaro Sato (1866-1942)
日本の海軍軍人、貴族院議員、学習院教授。最終階級は海軍中将。
海洋国家日本の海主陸従の戦略論を構築。海軍を基盤として海洋商工業国家日本の正統戦略を訴えた。しかし、当時の巨大な陸軍政治力と海軍内の分裂により、主力となることはなかった。敗戦によって正しさが証明された先見性のある佐藤の戦略は、日本の国家戦略として今も有効な戦略論である。
『国防私説』『帝国国防史論』『波上の日本』『久遠の生命』『建国の精神と国民の使命』『日本民族の世界的使命』などを通じて、戦史研究、国防論、リーダー論、道徳論などを発表。戦史研究の大家としても知られる。
この講座から学べること
日本が生んだ2人の天才戦略家。一方は陸軍で、陸主海従を唱え、戦略的に満州建国などで動いた石原莞爾。一方、海軍で、海主陸従を唱えた佐藤鐵太郎。奇しくも、同じ山形出身で、同じく愛国者でありながら、ほとんど真逆の戦略を論じた二人。「中国と手を取り合い、アメリカとの対戦に備えよ」と唱えた石原、「中国とは決して協力関係になるべきではない」と唱えた佐藤。この二人を比較して見ていくことで、より鮮明に日本国家としての「国家戦略」「大方針」が見えてくるでしょう。また、有名な石原の著書『世界最終戦争論』をはじめとし、今では古書でしか手に入らないような両者の論文等も網羅しています。そして、日本人の殆どが勘違いしている「満州建国の真の意味」、思想を戦略に昇華させる方法、戦略に活用する未来予測術などが学べます。
3つのポイント
- 1 二人の天才・石原莞爾と佐藤鐵太郎を比較
- 石原「中国と手を取り合い、アメリカとの対戦に備えよ」
佐藤「中国とは決して協力関係になるべきではない」
同じ山形県鶴岡市出身。陸軍中将と海軍中将、対照的な二人の戦略家。
戦略思考が弱いと現代で揶揄される日本人ですが、確かに実在した二人の天才を知ることができます。
特に佐藤は書物がほとんど出回っておらず、古書もほとんど手に入りません。石原だけを見ていても見えない、日本の戦略をわかりやすく解説します。
きっと見終わる頃には、日本人にこれだけの先見の明がある天才が実在したのだ、ということを肌で感じることができ、誇りに思えるでしょう。
- 2 対米必勝の戦略
- 様々な歴史のIFは世の中に存在します。「アメリカは真珠湾攻撃を知っていた。だからやめておけばよかった」など…大抵のものは結果を見た後付け。
対して、この二人が唱えた日本の戦略はまさしく、太平洋戦争より前から掲げられた"未来予測"でした。二人とも当時の脅威を正確に見据えており…石原は30年力を養うべき、と唱え、佐藤はそもそも中国に進出すべきではないと訴え続けました。もし二人の戦略が実行されていれば、日本が敗戦することはなかった、ということがわかるでしょう。
- 3 日本人ならではの戦略
- 中国人の孫子でも、西洋人のクラウゼヴィッツでもない、日本に最も適した国家戦略が学べます。
そして、日本の国家戦略というのは今までの「戦にいかにして勝つか?」というスケールではなく、「日本という国としてどうあるべきか?」という大方針。
これを学ぶことで現代日本にない、国としての道筋がはっきりと見え、今日の日本がどのような戦略を持てばいいか?そのために私たちが持つべき思考法とは何か?がすっきりと理解できます。きっとあなたがこれから「選挙で誰に投票すべきか?」など、日本を変えるための選択において大きな指針となるでしょう。
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[序章] 日本発二人の天才
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[第1章] 日本の国家戦略
- 「教科書から消された海軍中将」崇拝された石原莞爾、無名の英雄佐藤鐡太郎
- 「復活する"日本のマハン"」海洋国家日本の真髄を掴んでいた男
- 「日露戦争は偶然だった」真逆の戦略家二人が口を揃えて認めたワケ
- 「元寇、日清戦争、大東亜戦争」日本の脅威は地政学で読み解け
- 「激突:海軍戦略v.s.陸軍戦略」石原が見落としていた致命的なミス
- 「100年前とコロナ禍の共通点」有史以来の日本の課題とは?
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[第2章] 石原莞爾:天才の4つの顔
- 「満州建国は罪じゃない?」アメリカが石原莞爾を裁けなかった訳
- 「"絶対平和主義"でいけ」智将・石原莞爾を戦争から遠ざけたモノ
- 「昭和の怪物:石原莞爾」満州建国、平和主義、世界最終戦争...謎に包まれた天才の素顔
- 「1万vs25万」戦力で圧倒的に劣る関東軍...たった半年で満州を作った戦略
- 「天才石原の欠点」大いにありえた対米勝利...石原の戦略が採用されなかったワケ
- 「日本最高の頭脳」戦略家・石原莞爾の華やかすぎる経歴
- 「世界最終戦争論」幻に終わった日本・覇権国家への30年
- 「日本版ニューディール」経済成⻑のエンジン?満洲国経営のウラ
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[第3章] 佐藤鐵太郎:陰に隠れた天才
- 「帝国国防史論」伊藤博文も評価した名著...日本海海戦、勝利のエッセンス
- 「日本のマハン:佐藤鐵太郎」イギリスに習え...佐藤にしか見えていなかった日本の未来
- 「国防の3大要素」覇権国家日本への道筋
- 「佐藤鐵太郎を習わない3つの理由」左翼だけじゃない...保守も見落とした智将の価値
- 「VS.石原戦略」終末論に対抗した佐藤の歴史観
- 「佐藤:6つの著書」現代では手に入らない?紐解かれる珠玉の戦略書
- 「不遇の中将」敗戦によって正しさが証明された佐藤戦略
- 「脱・徴兵制論」現代にも通用する日本独自の手法
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[第4章] 未来に向けての日本戦略
- 「日本が取るべき国家戦略」中国と戦う為に必要な"海主陸従"とは
- 「自衛隊の欠陥」戦車は捨てろ?米陸軍から見ても絶対に押さえるべきバランスとは?
- 「新・日本国家戦略」佐藤が掲げた"3つの柱"
- 「第1の柱:戦略的環境」武器、金、協力者...徹底的に押さえるべきは?
- 「第2の柱:守りの戦略」最大脅威の把握と対策・新封じ込め戦略
- 「第3の柱:攻めの戦略」新しい3つのアジア・新しい⺠主化
- 「補足の柱:NGな戦略」手を出してはいけない...歴史に学ぶ失敗の本質
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[第5章] 佐藤・石原の戦略 応用編
- 「国家戦略策定のカギ」ビジネスにも応用可能な戦略の立て方
- 「戦略作りでよくある間違い」日本敗戦の原因にもなった、致命的なミス
- 「国際政治から学ぶ出世のイロハ」戦略と政治力...職場で押さえたい人物の特徴
- 「高齢化社会への処方箋」なぜ北欧の福祉国家を真似てはいけないのか?
- 「蘇る石原莞爾」石原の視点で現代を見るとどうなるか?
- 「日本的戦略思考」日本⺠族が歴史上繰り返してきた成功と失敗
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[終章] 総括:21世紀・日本の国家戦略