STRATEGIST
『海を制する者が世界を制す』海の戦略論
マハン
MAHAN
マハン
アルフレッド・セイヤー・マハン/Alfred Thayer Mahan(1840-1914)
アメリカ海軍の軍人・歴史家・戦略研究者。1890年アメリカで出版した『海上権力史論』の著者。
世界の7つの海を支配する覇権国家、大英帝国の強さの秘密を解明し理論化。「なぜ大英帝国は"覇権国家"になれたのだろうか?」「どうすれば世界を支配する国を創れるのか?」その疑問に答えたこの本は出版と同時に世界各国で思わぬ反響を呼ぶ。
"この本を手にするや、全く没頭し、一気に読み通してしまった"(第26代米国大統領セオドア・ルーズベルト)
"コペルニクスにも比するべく画期的"(ロンドン『タイムズ』)
"むさぼるように読んでいる。暗記するまで心に銘記しようとしている"(皇帝ヴィルヘルム二世)
最大限の賛辞を世界から受け、現代の戦略の基盤となる。
海軍兵学の鬼才・秋山真之大尉は『海上権力史論』を原文で暗誦するほど熟読していたと言われている。
この講座で学べること
近現代で世界覇権国家となったスペイン、ポルトガル、イギリス、アメリカは、いずれも海洋国家である。これらの海洋国家はいかにして世界覇権国家となったのか。これを明らかにしたのが、アメリカの戦略史家マハンであった。マハンは「大洋を支配する者が、世界を支配する」と世界覇権の本質を言いあてた。
また、英国の戦略史家コーベットは、大英帝国の経営において海軍がどのような役割を果たしたかを実証的に研究した。大英帝国の繁栄を支えた海軍戦略の実態が解明される。マハンとコーベットを学ぶことにより、海洋覇権国家・大英帝国の繁栄を支えた秘密が理解できるようになる。
そして現在の覇権国家アメリカを支える戦略システムの基本構造が見えてくる。
その延長線上に海洋国家・日本が今後、繁栄してゆく為には、どのような戦略をとるべきかも理解できる。
日本海海戦の名参謀・秋山真之はマハンの弟子でもあった。後の日米戦争は、マハン的視点からはどのように分析されるのか、日米戦争の本質にも迫りたい。
3つのポイント
- 1 海上権力史論
- 1890年に出版した『海上権力史論』 は「海洋を支配する国家が世界の覇権国家であること」を立証。またたく間に世界でベストセラーになり、日本の海洋戦略にも影響を与えた。本書を一言でいえば、海洋植民地帝国イギリス興隆の歴史を研究したものである。イギリスの「覇権国家」のメカニズムを解明し、その後のアメリカの海外発展に活かされた。
- 2 通商ネットワーク
- イギリスが如何にして数多くの困難を乗り越えて、7つの海を支配する大植民地帝国を作ったかを解明した。発見した原則の1つが「海洋を支配する国家が世界の覇権国家となる。」さらに「本国と植民地を結ぶ海洋通商が国家の富の最大の源泉であり、 この海洋通商を守るのが海軍の役割である。」と、海軍の役割をあくまでも経済的利益の側面から定義した。
- 3 制海権-シーパワー-
- 国家の最大の富の源泉である「海洋通商」を守るための海軍があると定義。さらに自国の船が海洋を自由に利用し、敵国に自由に利用させない能力を「制海権」と名付けた。これこそが、世界一の覇権を手に入れる戦略と考えた。そして、制海権を確実にする為には、敵国の海軍を壊滅しなければならないという原則を打ち出した。
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[序章] なぜ今、マハンを学ぶのか?藤井厳喜からのメッセージ
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[第1章] マハンの魅力:世界が魅せられた海の戦略
- 「政治家ルーズベルトと戦略家マハン」米国に繁栄をもたらした二人の男
- 「日本海軍の"聖典"」マハンが授けた日露戦争勝利の指南書
- 「全人類の命を賭けた戦い」核保有国アメリカvsソ連…戦わずして勝ったケネディの1手
- 「第一次世界大戦の起源」イギリスvsドイツ…2国をぶつけた真犯人とは?
- 「英国王室と世界大戦」市場大祭の家族げんか?ヴィクトリア女王とその孫、ヴィルヘルム
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[第2章] 海上権力史論のエッセンス 8つの原則
- 「覇権戦争は繰り返し」米中線で実は4度目…大陸国家vs海洋国家の戦い
- 「土地も資源も大事じゃない」最も広大な国ロシアが覇権を取れないわけ
- 「大英帝国が没落した日」世界覇権の終りを告げる"シンガポール陥落"
- 「中国より日本が有利」地政学に見た覇権国家の条件
- 「2大戦略家の共通点テーゼ」マハンとクラウゼヴィッツが示した"勝利の原則"
- 「自衛隊派遣の誤解」石油に電気…日本国民の生活を支える本当の目的
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[第3章] 覇権国家構築のメカニズム 実現した5つの予言
- 「解明:覇権国家のメカニズム」海の覇権400年史から読み解くアメリカの強さの秘密
- 「黒船とクジラと世界覇権」教科書が教えない、ペリー来航の真の目的
- 「古代ローマと日米大戦」1500年越しに繰り返された、戦いの法則
- 「フロンティア消滅と"ニュー"フロンティアの登場」ハワイ、フィリピン、日本…アメリカが目指した最後の地とは?
- 「アメリカの地形的弱点と克服」10年と1兆円、5千人以上の死者を出した"大・高炉建設計画"とは
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[第4章] 天才vs天才の勝利を分けた戦略
- 「フランスが逃した覇権のチャンス」ルイ14世が犯した市場最大、2度の誤断
- 「大英帝国うと"ブルーオーシャン戦略"」ヨーロッパ大陸での大敗が招いた、覇権のチャンス
- 「2大戦略の合わせ技」リデルハートとマハン、1.5梅の敵艦隊を圧倒した古代ギリシャの天才
- 「自滅"させる"戦略」戦況を決めた事前交渉…戦わずして勝った古代ローマの天才
- 「ナポレオン敗戦の真相」ヒトラーと一緒?対イギリス戦で天才2人に欠けた"海の視点"
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[第5章] 21世紀の海軍戦略
- 「中国が依拠する3人の"M"」毛沢東、マルクス…そして最後は?
- 「大陸国家の挑戦と限界」ドイツ・ソ連・中国…繰り返される歴史と負け組の法則
- 「マハン無用論の徹底批判」戦争・ビジネス、130年生き続けるマハン・ドクトリンの正体
- 「アメリカ海軍強さの秘密」1000人を犠牲にした最新鋭の技術とは
- 「海賊は"国家ビジネス"?」石油略奪、タンカー襲撃…背後で儲けるある2国
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[第6章] ビジネス戦略:今に活かす3つの仕組み
- 「"ネットワーク戦略"とは何か?」歴代最強の覇権国家:大英帝国に学ぶビジネス戦略
- 「AmazonとPay-Payの共通点」勝ち組の戦略"コミュニケーション戦略"とは
- 「工場を捨てた企業」Apple、任天堂に見る、現代ビジネスの成功パターン
- 「保険会社と海賊」"ロイズ保険"は闇稼業?現代も残る、大英帝国の遺産とは
- 「無駄は削っちゃダメ?」マハン"だけ"が示した唯一無二の戦略原則
- 「21世紀:新・大航海時代」アメリカ、ロシア、中国…世界が宇宙に出たがるわけ
- 「悪用厳禁:無限の資源の生み出し方」個人が活かせるマハンの戦略
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[終章] 海洋戦略:マハンのまとめ