STRATEGIST
『目的のために手段を選ばず』リーダーの戦略論
マキャベリ
MACHIAVELLI
マキャベリ
ニッコロ・マキャヴェッリ(1469-1527)
イタリア、ルネサンス期の政治思想家、フィレンツェ共和国の外交官。
著書に『君主論』『ディスコルシ』『戦術論』『フィレンツェ史』戯曲『マンドラーゴラ』などがある。フィレンツェの外交官として15年間勤めた。内政・軍政を所轄し、各国との交渉に関わる。1513年新政権下起こったボスコリ事件に加わった容疑で逮捕。地下牢で拷問を6回受けたのち、大赦により釈放された。
その後、山荘に家族7人で移住。43歳にして隠遁生活に入らざるをえなかったマキャヴェッリは、昼間は農業に勤しみ庶民と交わり、賭け事等にも興じたが、祖国フィレンツェへの愛国心、挫折感を忘れることができず、日が落ちると読書、執筆三昧の日々を送った。
執筆活動は政治・歴史・軍事から劇作にまで及び、喜劇『マンドラーゴラ』は大好評を博して著作家としての名声を得た。親友のフランチェスコ・ヴェットーリへの一通の手紙は、イタリア文学史上、最も有名で美しい手紙の一つとされてる。
ロレンツォ・デ・メディチに献上された、君主たるものがいかにして権力を維持し政治を安定させるか、という政治手法を説いた『君主論』が有名。
この講座から学べること
世の中のほとんどの人が誤読してしまっているが、この講座では真実のマキャベリズムがわかる。
「近代政治学の祖」と言われており、政治学を学ぶ時、まずマキャベリから始める。必読書は『君主論』『ディスコルシ(政略論)』の2冊。国家にとって理想の指導者とはどのようなものか?理想の国家とはどんな国家か?ということが書かれている。世界の政治家やリーダーにとって今までの見方や印象がガラリと変わるものとなる。
3つのポイント
- 1 君主論
- フィレンツェ共和国の外交官としての体験を元に 君主とは、どうあるべきか、指導者としての君主が持つべき才覚と考え方について書かれた書。一時は危険思想として禁書などの指定も受けたが、500年経った現代でも、「リーダーのための帝王学の書」として根強い人気を誇る。
- 2 目的の為には手段を択ばず
- 一言でいうと、マキャベリズムは「目的(結果)の為には手段を選ぶな」と総括できる。マキャベリは、政治イコール道徳ではないことを宣言した。 別正しい手段・方法を積み重ねていっても、正しい結果、望ましい結果が必ずしも得られないと断言した。ただし、ここで問われるのは、目的の崇高性であり、自らのエゴイズム(私利)の為ではない。現代でも「権謀術数の書」として誤解されるポイントがここにある。
- 3 愛されるより怖れられよ。
- 「人はささいな侮辱には復讐しようとするが、強力な攻撃には復讐する気が失せる。」というような格言も残している。同時に「自分の魂よりも祖国を愛している」というような言葉も残している。つまり、全ては祖国、民の安全と繁栄のために、時に厳しい決断をしなければいけないという冷徹な人心掌握術がそこにある。「結果こそ、すべて」などマキャベリの数々の格言は、群雄割拠のイタリアの時代背景などを知ることで、より深く理解できる。
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[第1章] マキャベリが生きた時代のイタリア
- 「王のいない半島」敵は内にも外にも…外国に翻弄されるイタリアの悲哀
- 「世界を山分けしよう」海洋の支配者たち:スペインとポルトガルが交わした密約
- 「イタリアの光と影」栄華を極めたルネサンスに、たったひとつだけ欠けたモノ
- 「フィレンツェの苦悩」"野蛮"なフランスに頭を下げる…軍を持たない国家の悔しさ
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[第2章] フィレンツェとマキャベリの生涯
- 「独裁者が死んだ日」大物領主を失ったフィレンツェ…一気に動き出すフランスの牙
- 「500年前の小切手外交」大金を払って安全を買う!弱みに付け込まれるマキャベリの祖国
- 「マキャベリ、29歳の姿」ローマ史を読みこなすエリート…共和国の歴史に現れた雄弁家
- 「裏切られた15年間」国に尽くした対価は投獄!?失脚したマキャベリが綴った思い
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[第3章] 『君主論』とその背景
- 「君主論の舞台裏」稀代の名著は全て実体験?マキャベリが見た3人のリーダー
- 「君主と過ごした4ヶ月」教皇の息子は謀略の天才?外交の前線で学んだリーダーの条件
- 「セニガリア事件の衝撃」反乱軍は"和解の席で"皆殺し…一気に豹変する英雄の計略
- 「ダメ君主の代表」人の顔を見て態度を変える…マキャベリが時の皇帝に下した評価
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[第4章] 『君主論』の名言
- 「目的のためには手段を選ばず」"目的"に隠された本当の意味
- 「リーダーの覚悟」国を守るか失うか…極限の状況で導かれた答え
- 「愛されるより恐れられよ」君主は孤独な生き物か?人の上に立つ究極の心構え
- 「日和見主義の落とし穴」中立国は必ず嫌われる?戦わない決意が仇になるワケ
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[第5章] 『ディスコルシ』『ローマ史論』【政略論】
- 「500年のローマ史」偉大な歴史はいかに生まれた?"共和国"が繁栄するための法則
- 「君主、貴族、民衆」今の日本にも当てはまる?政治を長く維持する3つのバランス
- 「民主制=善の嘘」大衆はいつも正しいのか?堕落しやすい政治の本質
- 「ローマ大劫掠」マキャベリが防ぎたかった大惨事が、現実になった日
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[第6章] マキャベリズムとは何か?
- 「マキャベリの欠点」組織の力を見誤った?トップがダメでも強い国家の存在
- 「人は運命の奴隷なのか?」マキャベリが唱えた"ビルトゥ"の概念
- 「制度化された暴力装置」国の運営は悪魔との契約だ…ウェーバーの唱えたリアリズム
- 「マキャベリストの条件」崇高な目的の重要性…誤解されるマキャベリの本意
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[第7章] マキャベリをどう応用するのか? (実践編)
- 「戦い続けた小野田少尉」日本を信じた29年のゲリラ戦…本物の軍人に見る覚悟
- 「独裁君主の力」本田ジェットと三菱ジェットを分けた違い
- 「国を守れない日本」国防は米軍頼りで金儲け…現代に再現されたマキャベリの苦悩
- 「女子供も全部殺せ」30万人が死んだ9.30事件…インドネシアの華僑虐殺に見るマキャベリズム